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正常性バイアスとは?

正常性バイアスとは?

台風が接近するたびに、気象庁では早め早めの対策を呼びかけていますが、専門家は「警戒を呼び掛けるアナウンスが多い中、自分は大丈夫だろう思い、楽観視する心理状態は、災害時に危険な『正常性バイアス』の恐れがある」と指摘し注意を呼び掛けています。
「正常性バイアス」とは、何らかの異常事態が起きたときに「これは正常の範囲以内だ」「自分は大丈夫」と思い込み、心を平常に保とうとする働きで、生きていく上では必要な心の働きである一方、災害時には危険を過小評価してしまうことにつながり、避難や対応が遅れる危険があるというものです。

この「正常性バイアス」は、去年7月に起きた西日本豪雨で、被災者の避難行動にもみられた心理状態であることが明らかになっています。災害発生から1カ月の間に広島県と岡山県、そして愛媛県の被災地で行ったアンケートでは、被災者310人に対して「最初に避難するきっかけとなったのは何か」という問いに対し、家の周りで浸水や川の氾濫、土砂災害が発生するなど「周辺の環境の悪化」と回答した人が33.5%と最も多かった一方で、「防災行政無線」の呼びかけと答えた方が7.4%、「テレビやラジオ」と答えた方は4.5%程度にとどまり、実際に身の危険が差し迫るまでは避難を決断しなかった人が多かったことがわかっています。

この結果について、災害リスクの専門家は、「一般的に災害の発生と被害の発生がほぼ同時に起こる地震などと違い、大雨や台風などの水害は、呼びかけから被害の発生までに時間が空くので、「正常性バイアス」がより強くかかる可能性があり、それが顕著に表れた結果だと思う」と話します。そのうえで、「先日の台風15号を含めて、全国各地で毎年のように水害や土砂災害が発生しているが、個人レベル、あるいは行政レベルでもかえって『警報が出るのはよくあること』『今までここで災害は起きていないから大丈夫』という新たなバイアスを生んでいる面がある」と話します。これは、いわば私たちの「災害(台風)に対する慣れ」が新たな被害を生む可能性があると指摘しているのです。

早めの対策はもちろん、イベントや催しの中止、延期は、多くの方が関わり、予定変更にも多くの労力や対応が必要となりますが、防災の基本は、自助・共助です。予定変更の結果、空振りでも何事もなくてよかったねと言い合える寛容さや、想像力を働かせ命を守る行動、決断を勇気をもってできるよう、日ごろから防災意識を高めていきたいものです。何事も命あっての人生ですから。

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