メニューにジャンプ コンテンツにジャンプ

ホーム >ぎょっとレポート >『宮城芸術文化館』がオープン

『宮城芸術文化館』がオープン

気仙沼市の南郷に『宮城芸術文化館』がオープンしました。
IMG_2369.jpgIMG_2368.jpg

みなさんはご存知でしたでしょうか?
二人の世界的なアーティストがいま宮城県気仙沼市で暮らしていることを...。

『宮城芸術文化館』の館長を務める三浦永年さんは登米市出身のマーブルアーティストでコレクター。
妻のティニ・ミウラさんは世界的な製本装幀芸術家。
二人はロンドンに5年、ニューヨークに11年、サンタフェに3年、ロサンゼルスに17年暮らし、各地にアトリエを持って、各国で展覧会や講演を実施。米国製本装幀(そうてい)大学を設立し、後進の指導をするなど世界中で活動してきたそうです。
そんな二人が永年さんの故郷である登米市に戻ってきたのは2018年のこと。
「宮城文化芸術館」を開設し、数多くの作品を展示されてきました。
地域のアート活動を後押ししながら展覧会や演奏会を開いてきたお二人が、2023年、新たなステージを求めてここ、気仙沼市に移住され、なんと気仙沼にギャラリーを開いたのです。
今日はそのお話をさせていただこうと思います。

三浦永年さんとティニ・ミウラさん

■三浦永年さん
永年さんがマーブル・ペーパーに出会ったのは大学生の頃だそうです。

コーネル付きの背革装で、表紙にスパニッシュ・マーブルが張ってある政治学の原書を神田の古書店で手に入れた。
その時はただ「きれい」と思っただけだったそうだが、再び出会いがあった。
大学卒業後、1971年から4年半ほど英国に留学。
愛書家だった永年さんは、ロンドンを拠点に、大英博物館、ヴィクトリア・アルバート博物館、パリ国立博物館、デン・ハーグ国立図書館、スウェーデン図書館などを訪れ、多くの稀覯書(きこうしょ)を間近に見たことで、次第にマーブル・ペーパーで製本装幀(そうてい)された美しい本に興味を持つようになったそうです。
そうした中、マーブル・ペーパーが実際にどうやって作られるか知りたくなった永年さんが、ヨーロッパ各地の制作者たちを訪ねたところ、その一人にティニがいまたそうです。
そして...永年さんとティニさんは意気投合し、のちに結婚。

永年さんはマーブル・ペーパーの制作方法を学びながら、ニューヨーク公立図書館、メトロポリタン美術館などで貴重なコレクションを見学、さらに17~20世紀に制作された貴重なマーブル・ペーパーの蒐集も行ったそうです。
その数は200種類、5000枚を超えるそうです。

※マーブル・ペーパーとは...
絵具を水面に垂らしてできた模様を、紙に写し取るヨーロッパの伝統的な装飾紙のことで、日本に古くから伝わる墨流しの技法が源流だと言われている。
15~16世紀にはインドやペルシャの細密画と、カリグラフィーと言われる手書きの美しい文字が一体となった本の頁の装飾輪郭として使われた記録が残る。
中近東で発達したマーブリング芸術(染紙技術)はヴェネチアの商人たちによってヨーロッパに伝えられ、17世紀にはフランスやドイツ、オランダで技法が発達、美しいマーブル・ペーパーが輸出されるようになる。
その後、ドイツでは多様なマーブル・ペーパーがさまざまな本の装飾に使われるようになり、現在ではイタリアを中心に技術が伝承されている。

■ティニ・ミウラさん
ノーベル賞の賞状制作にも携わるティニさん。
ティニさんはドイツ・キールで、美術大学教授の父とブラームス家系の母の間に生まれました。
西ドイツの美術学校を卒業後、パリのエコール・エスティエンヌ美術大学のモンドーンジ教授に美術と製本装幀(そうてい)技術を学ばれたそうです。
1963年からノーベル賞の賞状制作にも携わり、1965年に物理学賞を受賞した朝永振一郎氏、1968年に文学賞を受賞した川端康成氏の賞状をデザインしたのもティニさんなんです。
そして1971年、スイスのアスコナで開催された世界でもっとも権威のあるポール・ボネ賞コンクールで最優秀賞を受賞し、世界製本装幀(そうてい)芸術界の第一人者の地位を築かれました。
1975年には製本装幀(そうてい)を芸術にまで高めた功績でスウェーデン政府から芸術家マイスターの称号を授与。
美術館や博物館、蒐集家から依頼された愛蔵本や英国のエリザベス女王、スウェーデンのグスタフ国王をはじめとした各国王室の公式文書を多数制作。
パリ、ボストン、東京、大阪、上海、青島など、世界40都市以上で展覧会を開催するなど華麗な経歴を持っていらっしゃいます。

宮城芸術文化館

二人が気仙沼に新たにつくったギャラリースペースは、かつて材木倉庫として使われた場所で、東日本大震災で被災し建物で、震災後はデイビット風間さんが海外のキリスト系支援団体の宿泊所として管理していた『ホープセンター』の跡地で、2012年からはキリスト教会の礼拝所が設立され、音楽を通じて心の復興を願った場所でもあります。
この建物がリニューアルされ、『宮城芸術文化館』がオープンしました。

世界の第一線で活躍してきた二人が見つけた気仙沼の美術館...

IMG_2366.jpgIMG_2365.jpg

会場内に入ると右手の壁に写真が飾られています。
永年さんの兄の三浦功大さん(故人)が撮影されたもの...なんだそうですが、兄の三浦功大さんはジャズの写真家としても知られ、1963年から73年にかけて来日したジャズミュージシャンの公演を12年間にわたって撮影した写真集を出版していらっしゃいます。
兄・功大さんさんが撮影したルイ・アームストロングなど...ジャズファンにはたまらない写真が展示されています。
IMG_2363.jpgIMG_2364.jpg

二人が手掛けた色彩豊かな魅惑の作品の数々とともに、ここでしか見られない貴重な芸術品のコレクションが展示される。

一般公開は2023年10月25日から。


式典の様子

IMG_2358.jpgIMG_2356.jpg
IMG_2352.jpg



宮城芸術文化館  基本情報

一般社団法人 宮城芸術文化館

住所 宮城県気仙沼市南郷14-3

開館時間は午前10時~午後5時。
不定休。
入館料 大人300円、高校生以下200円


お問い合わせは TEL:0226-25₋8966

NOW ON AIR!

読み込み中
メッセージ・リクエストを送る

TODAY'S TIMETABLE

読み込み中